ブロックチェーンユースケース:サプライチェーン

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ブロックチェーンユースケース:サプライチェーン
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サプライチェーンとは、特定の製品やサービスを考え、それを流通させる人や企業のネットワークです。このネットワークには、製造段階のサプライヤーから、最終的に商品やサービスを利用するユーザーや顧客まで全て含まれます。サプライチェーンは主に、食材などの原材料のサプライヤー、加工を担当する製造業者、物流会社、小売業者で構成されることが多いです。

現在のサプライチェーンの管理システムは、効率性や透明性が充分とは言えません 。また関係者全てを1つのネットワークでつなぐことが難しいという課題があります。サプライチェーンのネットワークでは、お金やデータだけでなく、製品や原材料を各工程の担当者に滞りなく流通させていかなくてはならないのです。

今のサプライチェーンのモデルでは、継続的に効率良く業務を進めていくことが困難です。これでは企業の利益だけでなく、最終的に小売価格にまで悪影響を及ぼしてしまいます。

ブロックチェーン技術は、データの記録や送信、また共有に活用できるため、サプライチェーン領域における重要課題の解決に利用できると期待されています。


サプライチェーンにブロックチェーンを導入することのメリット

ブロックチェーンは分散型システムで改ざん耐性が高いため、サプライチェーンでの活用に非常に適しています。ブロックチェーンは情報が格納されたブロックを鎖状につなぎ、データを暗号化することによって、ネットワーク参加者が同意しない限り変更や改ざんが不可能になっています。

そのためブロックチェーンの利用で、安全で信頼性が高い情報伝達が可能になります。仮想通貨の取引を記録するために広く使われている技術ですが、ブロックチェーンはあらゆるタイプのデジタルデータを強固に守ることができるという特長を持っているので、サプライチェーンに応用した場合でも、メリットがたくさんあります。


透明性と改ざん耐性が高い記録技術

複数の企業や機関と共同で1つの業務を行うことを想像してみてください。その際に、原材料や製品が辿ってきたルートや、その所有権に関するデータを記録するためにブロックチェーンを利用します。そうすると、1つのサプライチェーンに所属する全関係者が、物の流れを把握できるようになります。また、記録されたデータは変更することができないので、何か問題が起きた時に責任の所在を明らかにできます。


コストの削減

サプライチェーンの運営では、非効率な工程があると様々な無駄が発生します。この問題は特に、耐久性の低い原材料や製品を扱う業種で多く見られます。ブロックチェーンを活用してデータ追跡が可能になり、透明性を高めることができれば、どこで無駄が発生しているかを企業が特定でき、それによって適切な場所にコスト削減につながる対策を講じることができます。

またブロックチェーンを活用すると、銀行口座の利用や支払い処理で発生する手数料を払う必要がなくなります。これらの手数料は利益の減少につながるため、コストの削減は非常に重要です。


データの互換性

サプライチェーンにおける現在の最も重大な課題の1つが、全関係者間でデータを統合できないことです。ブロックチェーンは分散型システムなので、1つの情報を透明性を保ったまま保存できます。また、ネットワーク上の各ノードが新しい情報を加えたり、情報が統一できているか確認するができます。このことは、全関係者がブロックチェーン上の情報全てにアクセスできることを意味し、それによって各企業が、伝達されてきた情報を容易に確認することができるようになります。


電子データ交換システムの代替技術

多くの企業が業務上の情報のやりとりに電子データ交換(EDI)のシステムを利用しています。しかしながら、EDIはリアルタイムではなく、たいていの場合情報をまとめてから送信します。これでは荷物の紛失が発生した場合や価格に急な変更が起きた場合などの急な事態に、サプライチェーンの他の関係者は、EDIが情報をまとめて送信するまでその事実を知ることができません。一方ブロックチェーンでは、情報は規則的に更新され、全ての関係者に即座に共有されます。


デジタル上の契約と記録の共有

記録を共有する場合、情報に一貫性があることは、全てのサプライチェーンにとって必要不可欠です。業務に必要な記録や契約は、ブロックチェーン上での取引とデジタル署名に裏付けられており、全関係者はオリジナルの情報にアクセスできるようになっています。

ブロックチェーンは記録が不変であることを保証しており、契約の変更を全関係者が同意した時にのみ実行されるようにすることができます。このようにして、企業は弁護士に契約書類の確認を依頼したり、関係者間で交渉を行う時間を減らすことができ、その分の時間を新製品の開発や企業の成長に充てることができます。


サプライチェーン管理にブロックチェーンを導入することの課題

ブロックチェーン技術がサプライチェーン領域にとって大きな可能性を秘めているといっても、考慮すべき課題や限界があります。


新しいシステムの導入

特定の企業専用に作られたシステムでは、ブロックチェーン環境へ移行できない可能性があります。企業のインフラや業務工程の全面的な変更は、オペレーションが止まってしまったり、他の部署から人手を借りなくてはいけないような大きな業務です。そのため企業の上層部は、業界内の主要な企業がブロックチェーンを広く採用していることに気づかず、このような犠牲を払うことをためらうかもしれません。


ブロックチェーン導入に賛成してもらう

ブロックチェーン技術を導入する場合、サプライチェーンの他の関係者に許可をもらう必要があります。ブロックチェーンを活用した新しいプロセスに加わることにメリットがある一方で、反対者がいると、技術を充分に活用することができません。さらに、透明性を全ての企業が望んでいるわけではないことに留意する必要があります。


システム変更への対応

企業がブロックチェーンを導入すると、従業員に教育が必要になります。ブロックチェーンとは何か、業務をどう改善できるのか、また新しいシステムの使い方も教える必要があります。現在の研修プログラムではブロックチェーン技術の特徴や革新性を伝えることはできているようですが、研修には時間やリソースが必要になることを考慮する必要があります。


今後のために

サプライチェーン業界では大手企業がブロックチェーン技術の分散型システムを採用し始め、活用を促進するためのリソースも確保しています。企業が製品や原材料の情報を効率的に共有するために、サプライチェーン領域でブロックチェーンがグローバルに活用される日は近いかもしれません。

ブロックチェーン技術は、生産や加工から物流、責任の所在追求まで、多くの点で企業を変革することができます。透明性の高い不変のデータベースを作るために、全ての工程を記録して、真正性を保証できるのです。そのため、サプライチェーンにブロックチェーンを活用することで、従来の管理方法で発生していた非効率な業務をなくせる可能性も秘めています。

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